土地や建物などの固定資産には、固定資産税がかかりますが、事業用の固定資産に係る税金については、経費に算入することができます。
では、いつの日付でいくら経費に計上したらよいのでしょうか。
今回は、固定資産税の必要経費に算入(損金算入)する時期について、解説していきます。
基本的に法人でも個人事業主でも基準は同じと考えてください。
認めらている計上時期は3通り
固定資産税の必要経費・損金算入時期は、結論から言いますと、次の3つの方法から自由に選択することができます。
①賦課決定のあった日(納税通知書の日付)に全額計上
②4回の各納期の開始日に分割して計上
③実際に納付した日に納付した金額を計上
以下、それぞれ詳しく見ていきたいと思います。
賦課決定日に全額を計上する
固定資産税や個人事業税のように納期が分割されている賦課決定方式の税金については、基本的には、賦課決定のあった日の属する事業年度において、その全額を計上することとなっています。
固定資産税は、毎年1月1日現在、土地・家屋・償却資産を所有している者に対して課税されます。
市町村によって異なりますが、多くは同年の4月、7月、12月、翌年の2月の各月末の4回に分かれて納期限が来ます。
賦課決定のあった日とは納税通知書が交付された日のことですので、通知書に「4月1日」とある場合は、4月1日の日付で全額を、「租税公課」勘定に計上する方法が、基本となります。
各納期の開始日にその都度計上する
4回に分割されている固定資産税の納期は、それぞれその月の1日から月末に設定されています。
(例えば、4月末が納期限のものは、4月1日から30日、7月末のものは、7月1日から31日)
第一回目は4月1日、2回目は7月1日、といったように、各納期の開始日(当日)に実際に支払ったかどうかは関係なく「租税公課」勘定に経費計上(損金経理)する方法があります。
個人事業主や、法人でも決算月によっては、この方法で計上していくと、1年間に発生する4回分の固定資産税のうち、年度が分かれて計上されるものが出てくることになりますが、まったく問題ありません。
各納期の開始日が属する年度の必要経費(又は損金)に計上されることになります。
実際に納付した日に計上する
先の二つの方法は、実際に支払ったかどうかに関係なく計上する方法でした。
一方、実際に納付した日に、納付した金額を経費計上(損金経理)する方法も、公式に認められています。
「現金で支払った分を経費にしないとと分かりにくいよね」という場合は、この方法で行いましょう。銀行やコンビニで支払った際に渡される控えを使って、その日付で経費計上していきましょう。
計上基準に継続適用は求められていない
上記の3つの方法は、選択適用するにあたり特段の要件などはなく、税務の取扱い上は継続適用も求められていません。
つまりどの計上方法を選択しても、途中で変更してもOKです。
そうすると、計上の仕方によっては、ひとつの年度に1年分超の固定資産税を固めて経費(損金)計上することもできます。
多くの利益が見込まれる”X1期”に少しでも経費を計上したいと考えた場合、以下の例のように、固定資産税を計上する年度を少しコントロールすることが可能です。
【個人事業主がX1期に5回分(1年分+1回分)計上】
【5月末決算法人がX1期に7回分(1年分+3回分)計上】
この5月決算法人の例ですと、年度末付近で1年分の追加計上を判断できることになりますので、決算見込みによっては効果的な処理ができるケースがありそうです。
このように、固定資産税の計上時期については、比較的柔軟な取扱いが可能となっていますので、状況に応じて検討してみましょう。