障害者手帳・要介護認定から障害者控除が適用できるか判定する方法

年末調整

確定申告や年末調整の際には、様々な所得控除があり、適用条件の確認だけでもとても労力がかかりますよね。

今回は、その中でも適用漏れや、適用間違いが多い「障害者控除」について、解説したいと思います。

障害者控除が適用される条件は?

ご本人や、同一生計の配偶者や扶養親族が、申告する年分の12月31日の現況において、次のような状況にあり、障害者である場合には、「障害者控除」という所得控除を受けることができます。

1:精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人

2:児童相談所、知的障害者更正相談所、精神保健福祉センター若しくは精神保健指定医から知的障害者と判定された人

3:精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人

4:身体障害者手帳に身体上の障害がある旨の記載がされている人

5:常に就床を要し、複雑な介護を受けている人

など(一部省略しています。)

障害者手帳から障害者控除を判定する方法

障害者控除が適用される代表的な基準が、「障害者手帳の交付を受けていること」です。
障害者手帳には、障害の種類によって「身体障害者手帳」、「療育手帳」、「精神障害者保健福祉手帳」の3種類があり、いずれも障害者控除の対象となります。

障害者控除には、「一般」と「特別」の2つの種類があり、一般の障害者控除の場合は27万円の控除、特別障害者なら40万円の控除、同居特別障害者に該当すれば75万円の控除が受けられます。

特別障害者の範囲は大まかに言いますと以下の通りです。
障害者に該当する人のうち、特に障害状態が重い人が特別障害者に該当する、という規定です。

①上記1にあたる人
②上記2のうち児童相談所などで重度の知的障害者と判定された人
③上記3のうち、障害者等級が1級と記載されている人
④身体障害者手帳に記載されている身体上の障害の程度が1級又は2級である人

特に③と④との違いに注意が必要で、精神上の障害の場合は1級のみが「特別障害者」に該当し、身体上の障害の場合は1級又は2級の場合に「特別障害者」に該当します。

まとめますと次のようになります。

手帳の種類 特別障害者 一般障害者
身体障害者手帳 1級,2級 3級~6級
精神障害者保健福祉手帳 1級のみ 2級,3級
療育手帳 A B又はC

障害者手帳の様式は、各自治体によって異なっており、特に「精神障害者保健福祉手帳」は、単に「障害者手帳」と表記されているだけで、「精神」の文言の記載のないものが多いです。

特に年末調整の事務を行う際、従業員の親族の障害状態などの詳細までは把握しておらず、提出された障害者手帳のコピーのみで判断することが多いと思います。
その場合、身体障害者手帳と間違って判定してしまう恐れもありますので、慎重な確認が必要です。

なお、身体障害者手帳の方は、「身体」という表記がどこかにされている様式が多いです。

障害者手帳の交付がなくても、要介護認定者なら適用できる場合がある

障害者控除は、基本的には「障害者手帳」の交付の有無で判定するという考え方でよいのですが、障害者手帳がない場合でも該当するケースがあります。

精神や身体に障害のある年齢65歳以上の人で、その障害の程度が、上記の1・2・4に準じるとして市町村長等の認定を受け、
「障害者控除対象者認定書」の交付を受けている場合は、障害者控除を適用することができます。

どのような場合に「障害者控除対象者認定書」の交付を受けられるのでしょうか?

代表的なケースは、65歳以上で介護保険における要介護認定を受けている人で、この場合「障害者控除対象者認定書」交付の対象者となる可能性が高いです。

「障害者控除対象者認定書」は市区町村に自ら申請して交付を受ける必要があります。

とても見落とされやすい項目になりますので、一度ご本人または扶養親族等で該当しそうな方がいないかどうか、確認してみましょう。

障害者控除と配偶者控除・扶養控除などは併用できる

この「障害者控除」は、ご本人の場合にはもちろん「基礎控除」などの所得控除と併用が可能ですし、同居の親族が障害者である場合は、その同居の親族の所得にもよりますが、「配偶者控除」や「扶養控除」とも併用できます。

また、「障害年金」を受け取っている場合でも、この障害年金については非課税となりますので、扶養親族かどうかの判断の際には、障害年金を除く他の所得の金額のみで判定できるということになります。

以上、所得控除の中でも障害者控除は本当に適用漏れが多い項目と思われますので、ご自身やご家族の確定申告の際、または会社で年末調整の事務を行っている方などは、しっかりチェックするようにしましょう。

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