2年前納した国民年金保険料の所得控除は?

確定申告

国民年金保険料を支払った場合、確定申告の際に「社会保険料控除」を適用することができます。
今回は、この国民年金保険料を前納した場合の取扱いについて確認したいと思います。

社会保険料控除を受けることができる金額

国民年金保険料の納付方法は、月々納付以外に、6ヶ月前納・1年前納・2年前納という制度があり、月々納付に比べて若干の割引がされているのでお得です。
令和3年度分の保険料は日本年金機構のHPによると1ヶ月16,610円ですが、1年前納だと3,540円の割引、2年前納だと14,590円の割引を受けることができます。さらに、口座引落による2年前納だと15,850円の割引となります。
銀行の利息と比べればかなりお得なので利用する価値はあると思います。

確定申告の社会保険料控除については、基本的には実際にその年に支払った金額が対象となります。(過年度分を納付した場合は延滞金を除いた保険料部分については控除の対象とすることができます。)

では、2年前納などにより納付した保険料は、全額計上して良いのでしょうか?

取扱いとしては、次の算式で計算した金額を「社会保険料控除」として計上することになっています。

ただし、前納期間が1年以内のもの及び法令に一定期間の社会保険料等を納付することができる旨の規定があるものについて前納したものについては、全額控除の対象としても良いこととなっていますので、支払った全額を確定申告書に記載することができます。

つまり、上記の計算式でその年に対応する金額のみを計上するか、それとも全額計上するかを、自分の判断で選択することができます。

国民年金前納や全額所得控除のメリット・デメリット

2年前納した金額を全額所得控除に計上する場合、その年度に限っては節税になると思います。
所得税は累進課税制度をとっているので、特定の年に、所得が大きくなりそうであれば2年分前納して、所得控除を受けるとよいでしょう。

ただし、翌年には、その分社会保険料控除を受けることができなくなります(控除済みのため計上できる金額がありません。)ので、毎年だいたい同じくらいの所得になりそうだということであれば、あまりメリットはありません。

また、前納を申し込める時期は、現金納付の場合はその年の4月末まで、納付期限も4月末。
口座振替・クレジットカード納付については2月末までが申し込み期限となりますので、前納するかしないかの判断は、この時期までに行う必要があります。

一年間の売り上げ規模などをみながら年度の終わりごろに駆け込みで前納するというということはできません。

なお、前納保険料について、全額控除を選択せずに確定申告書を提出した場合(到来した期日分のみ計上した場合)は、その後、更正の請求によって全額控除に訂正してもらうといったことはできません。

ちなみに、万が一前納済みの期間中に会社を設立したり企業に就職したりして、厚生年金に切り替わった場合、それ以後の期間分の前納済み国民年金保険料はきっちり還付されますので、心配はありません。

このように、節税手法として活用できる余地はあまりありませんが、特に大きなデメリットもありませんので、保険料の割引などに魅力を感じられれば、前納する価値はあるでしょう。

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