先日、令和3年(2021年)の税理士試験の合格発表がありました。
わたしが合格した年から早7年。。。時がたつのは本当に早いなぁ、と思います。
ところで税理士試験の受験者数が相当な勢いで減り続けている、という話はずいぶん前から、わたしの受験時代から耳にしていましたが、少し気になったので確認してみました。
税理士試験受験者数・合格者数ともに7年で3割超の減少
7年前の数字と比較してみると、受験者数の実人数が41,031人から27,299人へ、5科目合格者数は910人から585人へ、それぞれ3割以上も減少しています。
様々な原因があるのでしょう。
そもそも若者の人口が減っているとか、税理士の将来性が暗く魅力が感じられなくなっているとか、合格までに10年かかるともいわれる過酷な試験に耐えられないとか、公認会計士試験などに流れているとか。
個人的には、やり方次第の面はあるものの、税理士業務の未来は言われているほど暗くないと感じますし、実際の数字としてここまで減少していることは、正直悲しいです。
受験者数 | 5科目合格 (到達)者数 |
合格率 | |
2014年 | 41,031 | 910 | 2.2% |
2015年 | 38,175 | 835 | 2.2% |
2016年 | 35,589 | 756 | 2.1% |
2017年 | 32,974 | 795 | 2.4% |
2018年 | 30,850 | 672 | 2.2% |
2019年 | 29,779 | 749 | 2.5% |
2020年 | 26,673 | 648 | 2.4% |
2021年 | 27,299 | 585 | 2.1% |
7年減少率 | 33.5% | 35.7% |
ここでいう「合格率」とは、その年に5科目目を合格した人数(いわゆる官報合格)を、受験者の実人数(複数科目受けていても1人とカウント)で割った数字です。
科目ごとの合格率は簿記・財務諸表で15%以上、税法科目でも12%程度はあります。
それにしても受験者数の変動にかかわらず、合格率は異常に安定していますね。。。
税理士試験の受験者減少の原因は若者の減少ではない?
税理士試験の受験者数が減少しているということは、新しく受験を始める人が減っているのか、途中で脱落していく人が増えているのか、ということになりますが、一つ興味深いデータがあります。
25歳以下 | 26~30歳 | 31~35歳 | 36~40歳 | 41歳以上 | |
2014年 | 5,547 | 8,005 | 8,570 | 7,460 | 11,449 |
2015年 | 4,840 | 7,092 | 7,686 | 6,986 | 11,571 |
2016年 | 4,451 | 6,380 | 6,918 | 6,351 | 11,489 |
2017年 | 3,960 | 5,626 | 6,270 | 5,798 | 11,320 |
2018年 | 3,657 | 4,900 | 5,716 | 5,268 | 11,309 |
2019年 | 3,706 | 4,398 | 5,360 | 4,997 | 11,318 |
2020年 | 3,716 | 3,890 | 4,619 | 4,343 | 10,105 |
2021年 | 4,280 | 3,890 | 4,506 | 4,334 | 10,289 |
7年減少率 | 22.8% | 51.4% | 47.4% | 41.9% | 10.1% |
税理士試験の受験者数を年齢別に集計したデータですが、41歳以上を除くと、なんと25歳以下の人数が一番減少率が低く、令和3年(2021年)は過去5年間で最高の人数となっているという!
一方で、41歳以上の受験者数の安定感も、ある意味すごいです。。。
26~30歳、31~35歳の数字の推移も合わせて考えると、一時期大きかった若者の税理士試験離れの傾向は、ここ数年改善されつつある、という兆候が見て取れそうです。
現状はまだ脱落者の数の方が多く、減少傾向からは抜け出せていませんが、近いうちに下げ止まる可能性が感じられます。
もちろん、継続して税理士という仕事の魅力をアピールする必要もありますね。
若い人が集中して取り組めば、税理士試験の合格はそこまで大きなハードルではないはず。
若ければ合格後の活躍のチャンスも大きく広がります。
このままでは、税理士登録者の中に占める税理士試験合格組の割合がどんどん小さくなって、国税OBや公認会計士経由ばかりになってしまいます。
今後は少し税理士試験受験者数の反転に期待を持っていきたいと思います。